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STORY – 001

滝藤 賢一さんが見つけた、時を重ねる魅力。

1825年にイングランド南西部の小さな町で生まれた<Clarks>。200年近くの時を重ねて今日まで、子供の足を護るファーストシューズの定番として、大人の足元をあらゆるシーンで彩るレザーシューズとして世界中で愛されてきたまさに“ヘリテージ”。長い歴史あるものは、どうして人の心を惹きつけるのか。その魅力を知る人々に出会うインタビューシリーズに、今回は滝藤 賢一さんが登場。俳優として経験を積んだ彼に見えている、時間を積み重ねることの意味とは。

滝藤 賢一さんが見つけた、時を重ねる魅力。
滝藤 賢一さんが見つけた、時を重ねる魅力。 滝藤 賢一さんが見つけた、時を重ねる魅力。

STORY – 001

滝藤 賢一さんが見つけた、時を重ねる魅力。

1825年にイングランド南西部の小さな町で生まれた<Clarks>。200年近くの時を重ねて今日まで、子供の足を護るファーストシューズの定番として、大人の足元をあらゆるシーンで彩るレザーシューズとして世界中で愛されてきたまさに“ヘリテージ”。長い歴史あるものは、どうして人の心を惹きつけるのか。その魅力を知る人々に出会うインタビューシリーズに、今回は滝藤 賢一さんが登場。俳優として経験を積んだ彼に見えている、時間を積み重ねることの意味とは。

滝藤 賢一さん着用ブーツ、ご本人私物

俳優を志したのはいつ、どうしてなのでしょうか。

⾼校時代にファッションとスポーツ、それと映画が好きだったんです。⼤学に進もうにも、何がしたいかはっきりしない。そんななか塚本晋也さんやタランティーノのような、⾃らの作品に出演もする映画監督に憧れて、⾼校卒業後に上京することに。縁があって「無名塾」※に⼊り、それから徐々に俳優としての現実を突きつけられていくわけです。すぐに映画に出られるだろう、すぐに監督になれるだろうなんて思っていたら、もちろんそんなわけもなく……(苦笑)。舞台の仕事ばかりで、もちろんそこで様々なことを学びましたが、⾃分が思い描いていた世界と現実とのギャップに苦しみました。

※俳優の仲代達矢が主宰する俳優養成所。

自分の理想とかけ離れた日々でも、心が折れずに踏ん張れたのはどうしてだと思いますか。

辞めなかった、というか逃げられなかったんです。親から仕送りももらっていたし、同期も売れていくなかで、どうしても諦められなかった。だから20代や30代は遊ぶのも忘れてひたすら俳優修⾏に邁進していました。掛け持ちしていたアルバイトの給料も演技のワークショップやダンスの稽古などに注ぎ込んで、芝居のことばかり考えて過ごしていたけれど結果が出なかった。それでも続けられたのは、師である仲代達⽮さんの「勝負は40 代からだ、それまでは技術を磨きなさい」という⾔葉を信じていたから。今、あのときこの世界に夢中になれたことに、幸せを感じております。

30代から徐々に出演作が増え、今ではテレビで滝藤さんの姿を見ない日がないほどにご活躍です。ご自身の歴史上で、転機はいつだったと思われますか。

上京したのも「無名塾」に⼊ったのも、結婚したのも⼈⽣における⼤きな出来事ですが、やはりキャリアでは『クライマーズ・ハイ』に出演したことが転機になったと思います。家賃も払えなくなって、「努⼒をしても報われないんだな」とどん底を味わっていたときでした。状況を変えるために、思いつきでアメリカに⾏こうと思い、寝ないでアルバイトをし、なんとか家賃を払い切って貯⾦を始めた頃に合格の通知を受けて、⾃分でアクションを起こせば流れは変わるのだと改めて感じました。

様々な環境の変化を経験されていますが、時を重ねるなかで変わらない部分と変わった部分を教えてください。

変わらない部分はせっかちなところですかね。「時間を無断にしてはいけない」と⺟親から厳しく教わってきましたから。でも、あまりに仕事を詰め込みすぎて⼼も体も疲れてしまった時期があって、それからは植物に触れたり1⼈でのんびりする時間を意図的に作っています。変わったのは、⾔い訳をしないこと。20代の苦しかった時期に、いつも⼈のせいにして逃げていました。⾃分が置かれた環境を⾔い訳にして。それを⼈に指摘されたんです。「あなたが俳優として成功することと、無名塾や仲代さんがどう関係があるんですか」と⾔われてハッとしました。全く関係がない、⾃分が頑張るほかないんだって。それから「逃げない、⾔い訳しない」と台本にも必ず書いていました。⾃分が出演した作品の台本は、僕は捨てられずにずっととってあります。

たくさんの出演作があると思いますが、それでも台本は大事にとってあるのですね。

皆さん、仕事が終わったあとに⼿元に残る台本ってどうされてるんですかね?ものすごく場所を取るんですよ。もう⼆度と読まないのに。でも⾃分にとって台本は⽣きてきた証のように感じてしまい捨てられない。若い頃の台本にはたくさん書き込みがしてあって、それだけ作品に向き合ってきたことを思い出します。やっぱり作品には時間をかけた⽅が良い。⼤河ドラマや朝の連続ドラマなど取り組む時間が⻑い作品は、その役が体に染みついて、特に準備をしなくても感情が溢れてきます。⾃分のなかに、その役の歴史が積み重なっていくんですかね。

滝藤さんといえば、ファッションにも多くの注目を集めています。今日お召しになっているアイテムもヴィンテージだということですが、どうして古着がお好きなのでしょうか。

やはり昔ながらのものは、それだけ作り⽅が理にかなっていたり、縫製も丁寧なものが多いと思います。⾊や味わいも、時の積み重なりでしか表現されないものがある。Clarks も、まさにそうですよね。作り⽅も形も当初から完璧だからこそ、⻑い時を経ても変わっていないのではないでしょうか。僕らが若い時から履いている⼈がたくさんいたし、何より⾃分の妻が⾼校⽣の時から好きだったようで、ずっと履いていました。今⽇のようなカジュアルなスタイルにも、セットアップのようなドレスアップスタイルにも合う。こんな便利な靴があったら、なかなか他の靴は履けないですよね。

滝藤 賢一
Kenichi Takitoh

1976年、愛知県⽣まれ。舞台を中⼼に活動後、2008年に出演した映画『クライマーズ・ハイ』で⼀躍脚光を浴びる。Eテレ『趣味の園芸』シリーズ「これ、かっこイイぜ!」レギュラーゲスト、出演映画『極主夫道』(監督 瑠東東⼀郎)が2022年初夏公開予定。『服と賢⼀ 滝藤賢⼀の「私服」着こなし218』(主婦と⽣活社)が発売中。

滝藤さんが着用されているデザートブーツは
ご本人の私物になります。

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STAFF CREDIT
ヘアメイク/⼭本晴奈 取材・⽂/平井莉⽣(FIUME Inc.)写真/本間加恵